海外で面倒なことの一つは外貨だと思います。国内でドルやユーロなど現金をどう調達するか、どこで両替すると得なのか、クレジットカードがあればよいのか、悩まれるところがあると思います。
今回は外貨両替のオプションとして、WiseとRevolutというサービスを紹介します。長期の海外旅行だけでなく、短期の海外旅行でも事前にサービス申し込みをしておくことをお勧めします。日本ではあまり知名度が高くなく、使っている人も周りにあまりいないので、どのようなサービスなのか、どのようなメリットがあるのか説明します。
ヨーロッパはキャッシュレス
アメリカ、ヨーロッパなどドルやユーロが使える国であれば、キャッシュレスが進んでいるのでほぼ現金を使う機会はありません(アメリカはチップの文化があるので細かなドルがあったほうが良いかもしれないです)。田舎の方に行くと現金しか使えない場所がありますが、使う場面としたらそれぐらいです。
2ヶ月のヨーロッパ滞在中、現金が必要だったのはたったの3回です。1回目はドイツの田舎のレストラン、2回目はイタリアの床屋(クレジットカードの機械が故障していた)、3回目はスロベニアの駐車場です。
外貨持っていく必要ない
空港の両替カウンターで現金を両替している人がいますが、あれはマジで無駄です。為替レートは高すぎるし、本当に必要ならWiseやRevolutを使えば現地のATMで引き出し可能です。空港に着いてすぐ引き出せば、何の問題もありません。両替カウンターが必要なのは、WiseやRevolutが対応していない通貨を使っている国に行くとか、現金しか使えないとか、そういうケースぐらいだと思います。今回のヨーロッパ旅行では唯一モロッコだけが現金社会でした。それ以外だと、私が過去に行ったケースではイランぐらいだと思います(首都以外では日本円の両替ができないので、事前にドルを持って行った)。
WiseとRevolutについて
どちらも似たようなサービスで、海外送金が簡単にできるサービスです。元々は10万以下など少額の外貨を送金する時に、銀行の手数料より安く簡単に送れるように始まったサービスのようです。今では送金だけでなく、クレジットカードのように海外の店舗の支払いに使ったり、銀行キャッシュカードのようにATMでの現地通貨の引き出しも使えます。イメージとしてはPayPayやau Payなどに近いです。アプリ同士で送金ができたりもします。違いは円決済だけでなく、ドル、ユーロ、ポンドなど様々な通貨での支払いにも対応できていることです。
アプリ内でユーロやドルに両替しておくこともできますし、常に日本円で持っておいて、支払いの時にリアルタイムの為替レートで両替して支払う、ということもできます。
WiseとRevolutの使い方
クレジットカードと異なるのは、まず最初に口座にお金を入れておかないといけない点です。入金専用の銀行口座が作られるので、銀行振り込みで入金するか、クレジットカードを使って入金する必要があります。ただしクレジットカードで入金した場合、手数料が取られる場合があるのと、現地通貨での引き出しには使えないようです。
入金した後どのようにWiseやRevolutを使うか以下で説明します。
到着後の現金を得る
WiseとRevolutのカードを持っていれば、外国に到着後現地のATMで現地通過の引き出しができます。銀行のキャッシュカードを使って引き出しをするような感覚です。事前に外貨を自宅に送ってくれるサービスもありますが、それはキャッシュレス化が進んでおらずかつ日本円での両替が難しい国へ行く場合、などに限られると思います。
ちなみにアメリカ、ヨーロッパなどドルやユールが使える国であれば、キャッシュレスが進んでいるのでほぼ現金を使う機会はありません(アメリカはチップの文化があるので細かなドルがあったほうが良いかもしれないです)。田舎の方に行くと現金しか使えない場所がありますが、使う場面としたらそれぐらいです。WiseやRevolutでは現金の引き出し上限が月額いくらなどと設定されていますが、この上限以上に引き出す必要はほぼないと思います。
店舗での支払い
WiseとRevolutともに、有料ですが物理的なキャッシュカードを発行することができます。タッチ決済もできるカードです。店舗で支払う際に、クレジットカードと同じように使うことができます。キャッシュカードは2024年現在だと、WiseならMasterカード、RevolutならVisaカードというようにカードブランドが分かれています。そのためMasterもしくはVisaが使える店舗であればどこでも使えます。
この時便利なのは、事前に現地通貨に両替しておかなくても、自動的にリアルタイムの為替レートで両替して支払ってくれることです。例えば日本円で5万円入金しておいて、現地で10ユーロの買い物をしたとします。すると自動的に5万円を10ユーロに両替した金額で払ってくれます。もちろん既にユーロに両替済みの場合は、そのユーロをそのまま使います。口座にドルなど他の通貨を持っている場合、支払額が一番安くなるような為替レートを自動的に計算して、そちらから優先的に使ってくれるようです。
全ての支払いはアプリに記録が残り、どのお店でいくら使い、そのために口座のどの通貨をいくらの為替レートで両替した、という履歴が残ります。
クレジットカードとの比較
現地通貨の引き出しは別として、これならクレジットカードと変わらないではないか、と思うかもしれません。クレジットカードと比べて有利な点は、為替レートの差です。WiseとRevolutのほうが圧倒的に為替レートが安いです。もちろん街中の両替屋より遥かに有利です。クレジットカード会社、通貨にもよりますが、クレジットカードの場合たとえばユーロなら約3円、ポンドなら約5円ほど、実際の為替レートより高く設定されているようです。率にするとユーロだと約2.1%、ポンドだと約2.5%高くなっているようです。これがWise、Revolutなら率にして0.1%もしないぐらいです。
実際にはWiseとRevolutは1取引あたりで手数料を取るのですが、それでもユーロだと約1.4%、イギリスポンドだと約1.5%、トルコリラだと約3.6%、クレジットカード払いよりも安かったです。この金額を安いと見るか高いと見るか人それぞれだと思います。クレジットカードならポイントもつくからそちらのが良いという人もいるでしょう。おそらくユーロやドルなどの通過圏だったら、ポイントを考慮してもおそらく0.5%から1%ぐらいの差になると思います。100万円使ったとしても5,000円から10,000円の違いです。長期旅行する場合は1万円の差は大きいので、私ならWiseかRevolutを使います。また、トルコリラなどユーロ、ドル、イギリスポンド以外の通貨の場合は、クレジットカードのポイントを考慮してもWiseやRevolutの方が2%-3%ぐらい安くなるので、その場合もクレジットカードより得だと思います。
実際の支払い明細から計算した細かなレートの違いは、この記事の一番下に書きました。興味のある人は読んでみてください。
口座開設するには
WiseまたはRevolutのページに行って、
- アカウント登録をする
- アプリをインストールする
- カードの発行をする
とすれば良いです。カードの発行は口座開設に必須ではないですが、旅行先の支払いにも使いたい、現地通貨の引き出しをしたい、という人はカードを作っておく必要があります。こちらのリンクから作成すると、Wiseなら最初の送金手数料が無料になるなど特典があるようです(2024年9月時点)
まとめ
出国前にできる準備として、WiseとRevolutという国際決済のサービスについて説明しました。何やら難しそうに思えるかもしれませんが、現地通貨の引き出しもできるクレジットカードのようなもの、と理解するとわかりやすいと思います。さらにクレジットカードよりも安い手数料で買い物もできるので、カードを発行しておいて出国前にいくらか入金しておくと便利です。銀行振込にも対応しているので、出国後の入金でも問題ないです。
参考資料:クレジットカードの為替レートの差
クレジットカードとWiseまたはRevolutで、同じ日に実際に利用した明細から為替レートの違いを紹介します。
ユーロ
7/26にアメックスのクレジットカードとWiseで、ユーロの買い物をしました。この日の為替レートは167.28円でした。
アメックス: 60.83 EURの買い物をして、10,389円の支払いでした。なのでレートは170.79です。
Wise: 38.3 EURの買い物をして、6,452円の支払いでした(うち32円がWiseの手数料)。為替レートは168.46円です。
Wiseは手数料込みで1.18円高いレートだったのに対し、クレジットカードは3円51銭も高かったです。この日の為替レート167.28円に対する比率で比較すると、
アメックス: 3.51/167.28 = 2.1%
Wise: 1.18/167.28 = 0.71%
1.39%クレジットカードのが高かったです。
ポンド
7/21にVisaのクレジットカードとRevolutで、イギリスポンドの買い物をしました。この日は日曜日だったので、直前の金曜日(7/19)の為替レートは203.86円でした。
Visa: 2ポンドの買い物をして417円払いました。為替レートは208.816円です。
Revolut: 19.49ポンドの買い物をして、4,011円払いました(うち40円がRevolutの手数料)。為替レートは205.80円です。
Revolutは1.94円高いレートだったのに対し、クレジットカードは4.96円高かったです。この日の為替レート203.86円に対する比率で計算すると、
Visa: 4.96/203.86 = 2.43%
Revolut: 1.94/203.86 = 0.95%
なのでVisaの方が1.48%高かったです。
トルコリラ
細かな計算は省きますが、Visaでのレートが1トルコリラあたり4.4227円、Wiseが4.27円で、クレジットカードの方が3.58%高かったです。